【告知】「EPUB 3とは何か?」刊行のお知らせ
ろす こんにちは、電子書籍の貴公子です!
電書ちゃん え、何? よく聞こえない。奇行種?
ろす 今日は☆素敵な☆お知らせがあるんです。
このたびオライリー・ジャパンさんから電子出版される「EPUB 3とは何か?」に翻訳者として関わらせて頂きました!
DRMフリーかつ無料でご利用頂けます。
電書ちゃん 穏やかじゃないわね、あんたが真面目に仕事するなんて。
ろす 原書はEPUBの仕様策定に関わった Matt Garrish さんの「What is EPUB 3?」という本です。昨年後半に僕は個人的な勉強としてこの本を翻訳していたんですが、オライリー・ジャパンの瀧澤さんに相談したところ日本語版として刊行頂けることになりました。
もちろん当時の翻訳をそのまま使うのではなく、文章を手直ししたり、日本で馴染みの薄い技術には注釈を入れたりしています。
電書ちゃん ちなみに、これは一体どんな本なのかしら。
ろす やや技術寄りの読み物と思ってください。この本にはプログラムのコードが1行たりとも登場しません。HTMLのタグとか知らなくても読めますが「これでEPUBが作れるようになる」的なハウツー本でないのでそこだけ注意。
この本の背景は訳者まえがきに書いたんで、抜粋してみます。
EPUBはIDPF(Internationl Digital Publishing Forum)が策定した電子出版物フォーマットのオープンな標準です。2011年10月にEPUBの新しいバージョンであるEPUB 3.0の仕様が完成しました。本書が解説するEPUB 3とはEPUB 3.0のことです。本書はこの新しいフォーマットを広く理解してもらうために、O'Reilly MediaとIDPFのコラボレーションとして2011年9月に電子出版された無料の小冊子です。同時に EPUB 3 のアクセシビリティを向上させる方法を解説した“Accessible EPUB 3”も刊行されました。
この日本語版のための訳者まえがきは本書の刊行から2年後の2013年に書かれています。既に日本でもEPUB 3を採用した電子書籍のストアが続々と現れ、EPUB 3は商業出版の分野においては欠かすことのできない重要なフォーマットとなりました。EPUB 3に対応した制作ツールやリーディングシステムも数多く登場しました。EPUB 3の制作方法を解説した本やウェブサイトも枚挙に暇はありません。
こうした状況の現在、本書を読む意味は一体どこにあるのでしょうか。翻訳者である私は、本書の核心となる部分は今でも全く古びていないと思っています。それは、本書の中にEPUBの持つ背景や思想が語られている点です。EPUB 3が普及してゆくに従って、XMLやHTMLのタグ、制作ツールなどの使い方についてわかりやすい解説に出会う機会も増えました。一方で、どうしてEPUBがこのような作りになっているのか、この機能は一体何のためにあるのか、といった本質的な部分を解説したものはそれほど多くありません。
もちろん、EPUBはHTMLやCSSといったウェブ標準と呼ばれる一連のテクノロジーを数えきれないほど採用しています。同時に、ウェブ標準だけでは実現できなかった要件を独自の仕組みで解決しています。なぜEPUBはウェブ標準を採用しているのか。電子出版物を作る上でウェブ標準に欠けていたものは何なのか。EPUB独自の仕組みは何のためにあり、そこにはどんな人たちの希望が込められているのか。本書にはその答えが書かれています。そしてそれこそが「誰も」が「制約なく」使うことのできるフォーマットとしてのEPUBの本質であると私は考えています。
電書ちゃん くすくす。相変わらずあんたの文章は精一杯背伸びしてて微笑ましいわ。
ろす う、うるさいよ。
電書ちゃん コードの登場しない読み物ってことだけど、万が一理解できなくても安心ね。ビューワの本棚に飾っておけば、オライリーさんの表紙が放つ不思議なパワーによって「電子書籍勉強してます」感を味わったり誰かにアピールしたりできるわ。
ろす どうしてそういう身も蓋もないこと言うかな。
それから、この本EPUB 2で作られてるけどそこにはつっこむなよ。絶対につっこむなよ。
原書もEPUB 2で作られていたし、本家オライリーさんだってつい最近EPUB 3に移行しはじめたばかりなんだかんね。
電書ちゃん (うずうず)
ろす オライリー・ジャパンの瀧澤さんと制作に携わって頂いたトップスタジオの武藤さんにこの場を借りてお礼申し上げます。前から興味津津だったReVIEWによる制作フローも勉強になりました。
電書ちゃん ところであたしが登場する本は出たりしないのかしら。
ろす ん? 薄めのやつ?
そういえば今年もコミケの足音が聞こえて来たねえ。初夏だねえ。
電書ちゃん …………
ろす 痛っ!