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感嘆符・疑問符の後の全角空白は本当にJIS由来? 中の人に聞いてみたよ

こんにちは、ろす(@lost_and_found)です。

先日、いつも勉強させて頂いている株式会社LIGさんのサイトに載ったこんな記事が話題になりました。

日本語の表記ルール「!」「?」の後ろの空きをめぐって、さまざまなメディアや規格を調査・考察した素晴しい記事です。僕のような浅い人間は「ああ立派だなあ」と感心するのが精一杯のリアクションでした。

JIS X4051:2004を読んだけどわからない

ところが次の記述に疑問を呈する声が聞こえてきます。

そして、JISX4051では、同様に全角スペースを、疑問符や感嘆符の後に和字間隔をあけることに用いると定めているため、“「感嘆符(!)」と「疑問符(?)」の後には全角スペースを空ける”がJIS、すなわち日本の国家標準、と言えるのです。

その声の主たちとは DTP電子書籍クラスタの深部に棲む人たちの声です。

はいキモーい!

どうして『日本語組版処理の要件』(通称:JLREQ)と『JIS X4051』の違いを即座に指摘できるんですかね、この人たちは?

『日本語組版処理の要件』に記述があるのは確認できますが、JISってどうだっけ? 気になって僕もJIS X4051を読んでみたのですが、確かに明確な記述はみつかりませんでした。

P.43の表5には文字の空き量を示した表があります。しかし、「!」「?」といった区切り役物類の後ろに和字が続くケースはこの表によればベタ組みにすると読めます。

うーんどうなんでしょう?

そうだ!中の人に聞いてみよう!!

中の人とは、日本エディタースクールの元事務局長で『JIS X4051』と『日本語組版処理の要件』の作成で中心的な役割を果たした小林敏さんです。関係者の間では「小林先生」の通称で親しまれています。つまり、小林先生はLIGさんの記事で挙げられた『日本語表記ルールブック』『JIS X4051』『日本語組版処理の要件』の全ての関係者ということになります(版によっては直接関わっていない時期もあります)。

というわけで小林先生にメールしたところ、非常に丁寧な回答を頂きました。要約すると次のようなものになります。

  • 『JIS X4051』に「区切り約物の後ろは全角アキとする」規定はない
  • 次の理由で規定しなかったと考えられる
    • 区切り約物の後ろの空きを一義的に決めるのは困難
    • 文末を空けたければ和字間隔(全角空白)を入れればよい
  • 『日本語組版処理の要件』はJISよりも自由に記載できるので、区切り約物の後ろの全角アキを含め詳細に書くことができた

許可を頂いたのでメール全文をこちらに公開。

つまり『JIS X4051』に「区切り約物の後ろは全角アキとする」という明示的な規定はないが、全角空白を入れる表記を暗黙的に想定・許容しているというのが結論といってよいかと思います。

おわりに

最後に『日本語組版処理の要件』について触れておきます。この文書があったおかげで、国際の舞台で日本語組版について知って貰うことができ、共通の用語で議論することで、ブラウザの表現力向上や、日本での新しい電子書籍市場の実現に繋がったわけです。今では韓国語中国語についても同様の動きが広がっています。

僕は2011年末にJapanese Layout Task Force(JLTF)の会合にお邪魔したことがあります。『日本語組版処理の要件 第二版』の出版準備のための会合でした。

この時、小林先生がお話されたのは『日本語組版処理の要件』は、世界の人に「日本の伝統出版の組版はこうしてきた」と知って貰うためのものであって「ウェブの日本語組版はこうあるべき」と主張するものではない、ということでした。

また今回、頂いたメールでも小林先生こうおっしゃっています。

経験の中で決まった事項は,それなりの理由があるので,できるだけ守った方が読みやすい組版になりますが,あるルールが絶対であるわけではありません.

(18:20 追記) つまり『日本語組版処理の要件』のみならず『JIS X4051』も日本語文書のルールとして絶対ではないのです。

ですからLIGさんの記事の結びにあった次の言葉は、僕も非常に共感できます。

まずはルールを知ること、次にルールを疑うこと、そして、新しいルールを作ることのサイクルを回していくことを、自分の美学にする所存です。

これからのウェブの日本語組版は、僕たちがそれぞれ試行錯誤しながら作り上げてゆくものなのだなあ、と思いを新たにするのでありました。

おしまい。

追記: 2014/11/15 09:30

LIGさんの記事にて紹介頂きました。ありがとうございます!

追記: 2014/11/14 16:30

↓LIGさんの追記と行き違いになってしまいました。間が悪くてすみません。

※2014/11/14 12:00 追記 驚く程の反響があったので、お寄せいただいた情報や、ご指摘いただいた点について、後述する関係各所に取材をしています。結果は追記と明示の上、随時記事に反映していきますので、あしからずご了承ください。

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